石ころ

============================================================


道を歩いていた。少しイライラしていたので、足元の石ころを蹴ってみた。


形のせいで、いびつにコロコロと転がっていった。



ポチャンと溝に落ちて、少し水を濁らせた。それから、何日か経って雨が降った。二、三日続いた強い雨だった。


水量が増して、流れが早くなっていった。


石ころは少しずつ、川下の方に運ばれて行った。


雨が止む、ちょうど一時間くらい前に、海に着いた。


そこの河口は良く光りが届き、浅かった。




植物プランクトンがたくさんいるようで、光合成を無心にくりかえしていた。


一日半で毬藻(まりも)のようになって、より良く水の流れに乗りやすくなった。そして、沖へ沖へと進んで行った。




その毬藻は、ある時、起こった水流によって水中に舞い上がった。


その時、近くにいたお腹を空かした魚がパクリとそれを食べた。


魚の胃の中で、二日かけて藻の部分だけが消化された。




魚は急に息苦しくなったようで、水面まで急いで泳ぎ上がり、口をパクパクした。


ちょうどその時、近くで羽を休めていた水鳥が器用にゴクリとその魚を飲み込んでしまった。


結構のおおぶりな御馳走でその水鳥は満足した様子だった。


そして、大空に飛び立っていった。




一日程経って、胃の中がゴロゴロする気がして、気を紛らわせるために空の散歩をしていた。


無性に鼻(あると思う)がムズムズして、大きなくしゃみが気持ち良く出た。


とても胃がすっきりしたような顔をしていた。


でも、くちばしから飛び出した石ころには気付かなかった様子だった。




いつもの帰り道、てくてくと歩いていた。頭のてっぺんに痛みが走る。


足元にカロンと石ころが転がった。


そういえば、一週間程前にもこんなことがあった。


ちょうど、その時に降って来た石ころと形がにているなと思った。何か無性にイライラしてしまい、降って来たばかりの石ころを蹴飛ばしてやった。