ポジティブ・シンキンガール

あの日、あの高台でのコト、覚えてますか?うん、僕は覚えてます。夕刻だったよね。薄色になってて、何人称もの自分がいて、ブレブレなのだけれど。その日、その時の君のキスを避け切ることができてなかったのなら、良かったのかもしれないのにね、僕にとっては。何か変わってたかもしれないね。いや、ないないそんなの。いやいや、あってほしい。あってって。避けきれてない、パラレルワールドは存在する。必ず。そっちの僕は笑ってますか?手のひらは内出血してないですか??涙が心で溢れて目まで届いてない、とかないですよね??ねー、きー・こー・え・てーー・る?!?!


正直に言うと、避けれた・避けれなかったは、君にとってみては、どうでもいいことだったよね。だって、【超】を無限乗したくらいの、マイナス思考・コンプレックス魂の塊君だった僕を助けてくれた君。175cmの常識を消してくれて、お昼はマックでも大丈夫なんだよと、僕の目をのぞき込んでくれたね、涙目だった気がする、どうしてそんなに追い込んでるの?辛く思ってるの?って。


あの<くすんだ>プラスチックの器で食べた、ジェラートという名前のヨーグルト=ソフトクリームと、君の勇気。たまごっちとか、ハム太郎とか、と描写され、パセリをカウンター越しに食わされ、語尾に「チャ」を付ける君。冷めた目で見てた僕。今は、ありがとう×∞で溢れているのに…。カッコイイのチャ!!ピンコピンコ!!駅のホームではしゃぎ過ぎたね。僕ら。出会うのが少し早すぎたね。これはGLAYやな。マイッタな…。自己満足じゃ、そろそろキツイよ、正直…。苗字も名前も平凡で、今の苗字もおそらくは平凡な君を、僕は見つけることができないよ。君の部屋らしきとこでの、ボイルド・ソーセージ・ウィズ・ケチャップ食べたいな、また。不思議に、味は思い出せないけど。夢じゃなかったよね??必死に思い出してる。混ざるんだよね、記憶が。ああ。


雨の日に何度も何度も本丸を攻めたよね。僕ら若かった。若すぎて、元気あり余ってて。無料クーポン何枚も貯まったね。雨水で濡れて、スニーカーの赤の染料が裸足の足に移ってたアノ日。雨に濡れたスニーカーは気持ち悪かったよ。カカト踏んでた。頭の上の斜めの壁、角にぶつけた君の少しの出血。痛いッチャ。笑ってた。僕の部屋に初めて来た時の水色の変なワンピース。ボタンが、やけに大きかったような記憶。たまたまのバーで見た君の姿が、今の僕の最後の記憶。君らしい赤のドレス?だったね〜。正直にお世辞でも、美人ですとは思えなかったけど、予想どおりで変わってない感が良かったね。地味そうな彼氏が横にいたこと、今の今まで記憶から消してたわ。


ありがとうありがとう。アノ日の、ポジティブ・シンキンガール。